ファシリテーターの声 (奥 富美子さん)

奥 富美子さん

奥 富美子さん私はドラマケーションをCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の資格取得を目指す方たちの勉強会で取り入れています。 CDAはキャリアカウンセリングをする人です。「クライエント(相談者)の話を傾聴し、クライエントが自問自答するように促します。クライエントが自分自身の体験に意味づけを行い、悩みや葛藤を自分の人生における成長に変えること」をお手伝いします。 ひとは、キャリア(人生)の途上ではいろいろなことに遭遇します。日々の暮らしのなかでも、「一人で考えても決心がつかないこと」「コレが悩みのモトだとはっきりすれば楽なのに、自分でもよく分からなくてぐるぐると考えてばかりいること」などがあります。そのようなときは、「だれかに聴いてもらう」と頭の中が整理され意思決定がしやすくなります。「だれかに聴いてもらうこと」がキャリアカウンセリングであり、「聴いてくれるだれか」がCDAです。一般的には、キャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントなどと表現されます。

CDA資格取得には、一次(筆記)試験に合格してから二次試験に進むという2ステップです。 二次試験は、インテーク面談のロールプレイングを行って合否判定を受けるものです。インテーク面談とはキャリアカウンセリングの初回のことです。CDAは、「はじめまして」のクライエントとの信頼関係を早くにつくらないと、話を聴かせてもらえません。話をしてもらえなければ、クライエントを支援することがむずかしくなります。リラックスして心地よく部屋にいてもらえなければ、クライエントの自問自答は進みません。こうした場面を想定して試験が催されます。 受験者は、数多くの勉強会に参加し、試験日に自分の力が最大限発揮できるよう、ロールプレイングの練習をします。重要なことは「傾聴」です。相手の話を、「聴く意思を持ってしっかりと聴く。批評や評価などせずに、相手の立場に立って聴く」というものですが、これがなかなか体得しにくいのです。 これまで何度となく資格取得をめざしている方々の勉強をお手伝いしてきましたが、「相手をそのまま受け止める」ことが、どういうことなのかが分からない方が多いことに気づきました。そこで、ドラマケーションのアクティブメニューを活用します。 キャリアカウンセリングを受けようと訪れるクライエントは、「初めての場所、初めて会う人」に緊張しています。どんな内容でも、どんな状況にあるクライエントでも、私たちCDAは、クライエントをまるごとそのまま受け止めます。その感覚をつかむためにドラマケーションはとても有効です。

「できる・できない」「うまい・へた」という評価的な価値観を持ち込まないというドラマケーションの基本理念は、CDAのあり方に通じます。「誰もが安心して素直に自分を表現できる場こそ、コミュニケーションが弾み円滑な人間関係が生まれる場」をつくることを目指しているドラマケーションは、「クライエントが安心して素直に自分を表現できる」ように傾聴するCDAのあり方そのものだと、私は考えています。

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