ファシリテーターの声 (高瀬 大貴さん)

高瀬 大貴さん

認定を取った経緯

高瀬 大貴さん学生時代、教育について学びながら演劇を始め、「自分の目指す教育は演劇を通してでき るのではないか」という考えから演劇 に取り組んで きたなかで、演劇人だけではなく誰もが気軽にできて学びになる演劇のカタチを探していた時に、ドラマケーションの存在を知り、認定を取りました。演劇現場のみならず 様々な仕事で活用できるほか、ワークの意味などを一つ一つ考えることで、改めて演劇について考えるきっかけになったように思います。

どこで活用しているか

自分が主宰・演出をしている劇団では、主に 稽古のはじまりと本番前に取り入れています。稽古場には 、演劇・芝居に対して様々な考え方をもった人が集ま るため、いきなりアンサンブルをつくろうとしても難しいことが多いです。そのため、稽古の初めには、まず一人ひとりの 差異を知り、 お互いの価値観・考え方の 摺り合わせを行うようなワークを、本番前は、緊張感を共有できるワークを実施しています。 正直、最初は稽古の中 で台本以外のことを行うことに違和感を覚える役者もいるのですが、 ドラマケーションのワークを通して、台本を使った稽古だけでは 観られない姿を共有しながら、個々に独立していた役者たちが共演者として 舞台 を つくっていく 関係へと発展していく 感覚があり、役者たちも効果を実感すると積極性が増すように思います。

演劇のみならず、私は、自然環境教育施設で働いていたり、学童保育の仕事をしていたり、こども劇場でワークショップを頼まれたりしている のですが、 各現場 でも役立つことが多いです。上記の施設では、例えば、子ども向けのイベントを実施 する 時 のアイスブレイクに使用して、子どもたち同士の交流をつくるとともに、その後の活動を活発化させる目的で活用しています。特に、初めてイベントに参加する子は、慣れない環境、知らない顔に囲まれながら不安な面持ちで来ることが多いので、ドラマケーションを通して、「ここは楽しめる安全な場所なんだ」と感じてもら えると、イベント全体を通して活発に参加してくれるように思います。 学童保育の仕事では、子どもたちの集団遊びで活用するとともに、話を聴いてほしいときなどに注意するかわりにワークを行うことがあります。普段はうるさくしてしまう子たちも、何か楽しいことが始まれば そこに集中するため、そのあと自然と話を聴いてくれることが多いです。 ワークへの 参加を通して、「見る」「聴く」姿勢を身に付けてもらうことにも効果があるように思います。また、ドラマケーションを通して、子どもたちの違った一面が観られることもあり、 ある子は ワークの中 の 発言 によって「頭が切れる」と友だちから一目 置かれるようになるなど、子どもたち同士の認め合いのきっかけになるのではないかと思います。

普段、小学生以下の子どもたちと接することが多いのですが、幼いころから、彼ら彼女らは「うまい・へた」「できる・できない」という評価を気にして過ごしているように感じます。子どもたち同士で遊んでいるときでも、「へただからやらない」「できないからやらない」という声をよく耳にする中で、そのような評価をしないドラマケーションは、子どもたちの安心と、そこから生まれる自己表現を円滑にする可能性を秘めているように思います。様々なストレス・重圧がある中で生活している彼ら彼女らが、お互いの違いを認め、安心できる場・関係性をつくるために、低年齢向けの活用方法をもっと学んでいければと思っております。ドラマケーションは使う人の目的や対象によって様々な使用法があり、応用の利くワークだと思います。私自身、もっと活用方法・活用現場を増やしていければと考えております。

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