講師同士の関係において、活動中に交わされる言葉は、思っている以上に場の質を左右しているのではないだろうか。
受講者への関わり方には意識が向きやすい一方で、講師同士のやり取りは無自覚に流れてしまいがちだ。
けれど実際には、そのやり取りこそが関係性のモデルとして受講者に伝わっている。
今回は、「指示と命令」「ダメ出しとフィードバック」、そして「批判的検証」という視点で整理してみたい。
まず、「指示と命令」。
活動中の講師同士は、本来は上下ではなく共に場をつくるパートナーのはずだ。
しかし余裕のなさから、“命令”の言葉が出てしまうことはないだろうか。
命令は相手をコントロールする言葉。
指示は場の流れを共有する言葉だと思う。
「次これやって」ではなく、
「次これいこうか」と言うだけで、関係性は変わる。
小さな違いだけれど、その積み重ねが関係を“縦”にも“横”にもしていく。
これは命令になっていないだろうか、と問い続けたい。
次に、「ダメ出しとフィードバック」。
ダメ出しは「何がダメか」で終わる。
フィードバックは「どう見えたか」と「どう活かせるか」を返す。
「それ違うよ」ではなく、
「このゴールに寄せるとどうだろう?」
この違いが、相手を縮こまらせるのか、動きやすくするのかを分ける。
ダメ出しは上下を生みやすく、
フィードバックは横の関係を保ちやすい。
活動中は長く話せないからこそ、短くても“観察”を含めたい。
そして、「フィードバックにおける批判的検証」。
ここで大切なのは、批判的=否定ではないということだ。
「弱かったね」で終わるのではなく、
「後半、発話が減っていたように見えたけど何が起きていたんだろう?」
と問いに変える。
人ではなく現象を見る。
原因を決めつけず、可能性を開く。
そして次にどう活かすかを考える。
これがクリティカルシンキングだと思う。
ただし、この視点も関係性があってこそ活きる。
関係性がなければ批評になり、
思考がなければ「いいね」で終わる。
だからこそ、
安心できる関係性と、
深く考える視点の両立が必要なのではないだろうか。
講師同士のやり取りは、そのまま受講者にとってのモデルになる。
命令で動くチームか、
指示でひらくチームか。
ダメ出しで整えるのか、
フィードバックで育つのか。
場はプログラムだけでなく、言葉と関係性でできている。
活動中の一言にどれだけ意識を向けられるか。
その選択が、場の質を静かに決めていくのではないだろうか。
